NAGAKUTE Cultural Center

長久手市文化の家
愛知県長久手市野田農201番地, 480-1166
tel:0561-61-3411 fax:0561-61-2510
開館時間 火-日:9:00-22:00

長久手市文化の家 スタッフ日誌

07
2019  09:40:58

「介護と演劇」 互いの可能性

突然ですが皆様、

老い、ボケ、死

と聞いてどう感じますか?
プラスのイメージを浮かべる方はあまりいないかと思います。
しかしこの3つの言葉を、なんと劇団名にしている劇団が岡山県に存在するのです。

その名も
O i B o k k e S h i
「オイボッケシ」と読みます。

主宰は平田オリザ氏の劇団「青年団」所属の俳優であり、介護福祉士でもある菅原直樹さん(35歳)。

IMG_6040.jpg


岡山でのワークショップで、92歳の岡田忠雄さんと出会い、
岡田さんの演劇への熱い想いから、OiBokkeShiが結成されました。

岡田さんは認知症の奥様を自宅で介護中。いわゆる老々介護。
大変な日々の中、演劇が生きがいとなっているそう。

去る3月20日、菅原さんをお招きして、文化の家で講演会を行いました。

OiBokkeShi主宰の菅原さんは言います。
「認知症と演劇は相性がいい。」

よく症例として出てくる、
ついさっきご飯を食べていたのに「ご飯まだ?」
「さっき食べたでしょう」と正そうとする方が多いでしょう。
その後「食べてない」「食べた」「食べてない」の繰り返しでお互いに怒ったり、悲しくなったり。。。
介護者は発症前の家族の姿とのギャップに苦しんで、
被介護者は脳の病気で空腹に感じてしまうだけで、なぜ否定されるのか分からないことにも苦しむことになってしまいます。

誰だって嘘をついたり、内緒ごとをしたりと大なり小なり「演技」をしたことがあるはず。
その「演技」を介護の中に取り入れてみてはどうか、という菅原さんのお言葉。
ぼけを正すのではなく、「受け入れる」。ノッてみる。
例えば「ご飯まだ?」に対して「お腹すいたの?じゃあ何食べたい?」と聞いてみる。
返ってきたご飯のメニューに対して「分かった、これから作るから待っててね」と伝える。

もしかしたら本当にそのメニューを用意することになってしまうかもしれませんが笑
「食べた」「食べてない」の悲しい言い合いはなくなります。

IMG_6157.jpg
▲ ノッてみて、受け入れる『yes,and』ゲームのデモンストレーション。

お話を聞いていて目から鱗でした。
私は認知症の人と暮らしたことはありませんが、これで救われる人は少なからずいるはずだ!と。

私も離れたところに住む祖母が認知症を発症した際、
祖母のぼけの症状を正すか、正すまいか散々迷いました。
結果正さず、「そのまま聞く」という選択をしたのですが、菅原さんのいう「受け入れる」ことをしていたのだなぁと。
当時は「本当にこれでいいのか」と感じていましたが、それを許してもらった気にもなりました。

講演会のなかで岡田さんのドキュメンタリーを鑑賞したのですが、
岡田さんも認知症の奥様に対してこの「受け入れる」ことを心掛けることで、
笑って一緒に自宅で過ごせることを喜んでらっしゃるようでした。

必要な道具はなし!考え方ひとつでこんなに心が軽くなるってスゴイ!!!
講演会を聴く前と聴いた後でこんなに心持が変わったのは初めてでした。
そう感じられたのは私だけでないと会場の空気から感じました。

菅原さん、素晴らしいお話をありがとうございました!

創造スタッフ 藤島

----------------------------------
文化講演会 介護と演劇~認知症のひとと“いまここ”を楽しむ~
2019年3月20日(水)13:30開演 光のホール

 レポート